手技治療家探訪① 村松陽一先生

身体均整院はつらつセラピー　院長　村松陽一先生

〈プロフィール〉
東京経済大学経営学部経営学科卒
1991年　姿勢保健均整専門学校スクリーング課程修了
1993年　昭島市にて身体均整院はつらつセラピー開業。2002年に現住所に移転
2004年　J.C.Oカイロプラクティック師免許取得
2006年　有限責任中間法人身体均整師会代表理事会長就任
　　　　身体均整法学園学園長就任
2012年5月　一般社団法人身体均整師会代表理事会長
　　　　　　身体均整法学園長 3期6年満期完了にて退任

著書：『重力で読み解く身体均整法入門』（身体均整師会出版事業部）

身体均整法と脊髄神経反射法

文／村松陽一

たにぐち書店で発行した丁宗鐵（ていむねてつ）監修『手技療法年鑑―手で治す大事典』で「日本の整体に於ける一つの極点」と紹介された身体均整法は、明治42年生まれ、愛媛県松山の亀井進により発表された身体手技療法です。

その広範な手技の体系の軸は、身体を筋肉や骨格（関節）神経に分類される運動系の骨格筋をインジケーターとして、姿勢の重心の観点から体性―内臓反射を俯瞰した12種類の姿勢の歪みの仕組みを外展体制、これを簡単に説明すると捻れた姿勢は泌尿器に影響を及ぼす傾向があります。

逆に泌尿器がトラブルに陥ると身体に表現される姿勢になりますという、内臓―体性反射が作り出す姿勢、これは先の外展体制と有機的なつながりを持ちながら、姿勢に及ぼす12種類の歪みのメカニズムを統合した内展体制を弁別した12種体型学です。

亀井進師範は、身体均整法の体系を作り上げるに際して、1910年代にアメリカのスタンフォード大学のアルベイト・エイブラムスが作り上げ、大正６年に医師である児島林平により日本に翻訳紹介されたスポンディロセラピー・脊髄反射的療法に着目します。

スポンディロセラピーとは、特定な器具を用いて力学的な押圧による脊髄の特定部位へ、物理的な刺激を加えることにより、脊髄の反射運動により心臓、肺臓、胃腸その他の器官を拡張させたり、収縮させたり、あるいは血管の充血を除いたり血液分配の不足を補ったりする療法です。師範は特注の皮膚通電抵抗測定器を用いて、自ら10年の歳月をかけ其の現象を追試しつつ、かつ経絡現象を加味した徒手による独自の脊髄神経反射法をまとめた類別克服法を書き上げました。

現在の日本では、エイブラムスのオリジナルなスポンディロセラピーをおこなっている治療院はインターネットで調べても見当たりません。

検索で出てくるのは、身体均整院によるスポンディロテラピーの説明くらいなものでしょう。

スポンディロセラピー創始者のエイブラムスは、本来の脊髄反射療法に留まらず、すべてのものは未知の波動を発していて、この波動は生体に影響を及ぼし、機器により測定可能であり、同調や変調をすることですべてのものに影響をおよぼすことができるとすることを「エイブラムスの電子反応」の発見により、生体エネルギーや波動の存在を確信し、その著書である「診断と処理の新しい概念」として発表しました。

自らもこの原理で作り出した「オシロクラスト」という治療器を作り出したことでわかるように、現在、販売されている1000万円も超えるような量子の世界をも視野に入れたとする波動機器や生体エネルギーや波動を操作することで治療をするラジオニクスの原点が、エイブラムスのスポンディロセラピーにあることは意外と知られていません。

その意味でも、手技による脊髄神経反射法となる類別克服法の存在は大きな意味を有しています。

今回、身体均整法理論の中でその一翼を担っている脊髄神経反射法である類別克服法を広くインターネットで紹介するというたにぐち書店の要望に答えるにあたって、視聴者の皆様にはお断りをしておかなくてはならないことが２点あります。

◆第１
脊髄神経反射法は医療法ではありません。
肝臓炎を例に取れば、肝炎によって生じる内臓―体性反射による歪みの姿勢を、脊髄神経に刺激をくわえることにより姿勢の歪みを整え、肝臓に作用する自律神経の働きにより、肝炎が収束に向かいやすいような環境が期待できるということであります。
それによって肝炎が治ると言うことではありません。
この点は紛らわしいので、くれぐれも誤解のないようにしていただきたいと思います。
病気は医師の手に委ねなくてはならないのは決まりきった事であり、脊髄神経反射法は身体環境を整えることにより、医師が行う医療が効率よく機能するための補完的な身体調整法であることです。

◆第２
操法中の説明にある器官の拡張、収縮といっても、臓器が実際に拡張したり収縮したりするわけではなく、身体に加わった刺激により、その傾向が標的器官の機能に作用するということです。

この２点を誤解ないように改めてお願いして、早速、脊髄神経反射法のデモンストレーションに移りたいと思います。