半身症候鍼灸研究会代表・律動法研究会代表 茂木 昭先生に聞く
〈プロフィール〉
1945年群馬県生まれ。
国学院大学史学科卒。
日本理療専門学校卒。
シオカワスクール・オブ・カイロプラクティック卒。
半身症候鍼灸研究会代表。
律動法研究会代表。
周期堂治療室院長。
〈律動法セミナーと半症鍼セミナー沿革〉
●律動法:平成7年に発足。活動として、爾来、年に数回の公開セミナーを、東京・池袋、新大阪、福島、宇都宮、博多、高松、広島、名古屋等の各地で開催し、定例会として毎月、月例研究会を開催している。
●半症鍼:平成14年7月、池袋で開催した公開講座をはじめに、全国各地でも継続して公開講座を開催する。それと同時に鍼灸学生研究会と並行して一般鍼灸臨床家の月例研究会も毎月開催していく計画である。
〈著書〉
『手技治療のための筋肉反射テスト〈基本編〉』
『新鍼灸法の実践』
DVD『手技治療のための筋肉反射テスト〈基本編〉』
DVD『鍼灸のための筋肉反射テスト〈基本編〉』
DVD『鍼灸臨床現場シリーズ・茂木昭先生の 半身症候鍼灸法〈第1巻〉』
DVD『鍼灸臨床現場シリーズ・茂木昭先生の 半身症候鍼灸法〈第2巻〉』
DVD『鍼灸臨床現場シリーズ・茂木昭先生の 半身症候鍼灸法〈第3巻〉』
DVD『律動法の実践〈基本編〉』
DVD『律動法 臨床現場シリーズ〈3枚組〉』(以上、たにぐち書店)
『奇跡の新鍼灸法と手技治療』(知道出版)
『律動法』(エンタプライズ)
『気の治療学・律動法』(中央通信社)
1.自己紹介と経緯
茂木昭と申します。
手技療法の「律動法」と「新鍼灸法・半身症候鍼灸法」を創始しました。
律動法は平成7年から、新鍼灸法は平成14年からセミナーを開催しています。
まず、治療家を目指すに至った経緯をお話ししたいと思います。
小学校時代の転落による脊椎打撲に起因し、20歳頃より長期にわたり腰痛に悩まされました。
鍼灸や健康法に関心を向けるうち、手相見ならぬ手首の脈診をして人の病的体質を当てる不問診断ができるようになっていました。
鍼灸関係の専門書をよく読んだのも、鍼灸学校入学の10年以上前です。
独学で経穴へ刺鍼したのですが、足の三里のより正確な響きが分からず、その正確な刺鍼点、方向、深度を知るために鍼灸学校で聴講生として学びたいと真剣に考えていました。
後年、鍼灸学校に入学してみると、卒業するまでその答えを教えてくれる優秀な教員はいませんでした。
学校より自身の体に灸し、鍼することの方がずっと勉強になりました。
わたしの体ほど数多くの鍼を刺した者は誰もいないと思います。
決して自慢にするわけではないですが、鍼灸師ならそのくらいの体験は必須です。
指圧なら誰よりも自身の体で指圧を受ける。カイロプラクターでも同じです。
治療をするけれど受けるのは嫌いで、名人となった人はいません。
鍼灸界の指導者では指圧は指を痛めるからしてはいけないなどという人がいますが、指を壊しても、壊しても指圧することでしか、筋肉、皮膚の微細な感覚が覚醒しません。
鍼灸学校入学前に、脈診による経絡治療を覚え、鍼灸は理論的に確立しているので経絡治療が優れていると思っていました。
しかし、気持ちよくなり、一時的に痛みが緩和されるが、根本的には治らないことを痛感して、入学後は脈診を止めました。
入学後は鍼灸とは逆の治療を考えていたところ、2年生のとき、同級生に誘われ、シオカワスクールに入学し、カイロプラクティックの世界に没頭しました。
カイロプラクティック、オステオパシーを学び、自身の理想とする究極の手技療法を目指し、昭和60年ごろ「律動法」を創案しました。
臨床体験から、腰仙関節を重視し、腰椎5番をメジャーとする治療体系を確立しました。
骨格系に対する生体観は、リスティングを静止状態でとらえず、血液循環、リンパ系の循環にともなう生体現象として骨格系の動的リスティングを採用しています。
その後、鍼灸師の知人に「茂木さんは鍼灸師ではなかったの」と言われ、鍼灸界の現状を憂い、平成5年頃、この手技療法に匹敵する同じ効果を上げられる鍼灸法を発見しようと思い立ったのが、半身症候鍼灸法です。
これは鍼灸もカイロプラクティックのB・J・パーマーのホールインワン学説の理想を追ったものです。
律動法セミナーは平成7年のたにぐち書店セミナールームの第1回から全国でのセミナー開催を継続し、現在まで継続しています。
半身症侯鍼灸法セミナーも同じく平成14年より継続しています。
2.遠隔治療について
遠隔治療は治療について多くの示唆に富むもので、以前は多くの海外患者に行ってきましたが、医療から離れた依頼者の思いなどありまして、自分の治療観から現在は遠隔治療を実施していません。
しかし、治療技術の頂点に立つ治療法につながる要素があるので紹介したいと思います。ヨーロッパ各国、ロシア、南米、北米、オーストラリア、アジアとあります。
国内のセミナー中にも参加者の家族へ参加者注目の中の遠隔治療、セミナー会場での建物の外から、あるいはセミナー会場内から建物の外への遠隔治療など、各地で行ってきました。
セミナー会場では治療前と、治療後のチェックをします。
地球の裏側、ブラジル・サンパウロの日系医師では、飛行機事故での脳梗塞で足の障害がある杖歩行の人が3回の治療後、足が前に向き杖なしで歩けるようなっています。
八丈島のサーファーが崖から転落して意識不明だったのが、治療後直ぐに回復し、数日で平常生活ができるようになっています。
例を挙げたら切りがありませんが、噂で、対面なしだからこそ医学ではない奇跡が簡単に起こせるものと、治療を安易にとらえる人が後を絶ちませんでした。
しかし、遠隔治療をしなくても、それで正確に効果を上げられるだけの能力は、対面治療においても貴重なことは間違いありません。
遠隔治療ができる律動法研究会会員も少なくありませんが、特別専用の指導をしなくても自然に遠隔治療が可能になる指導をしています。
我々の言う遠隔治療とは、電話を通して気を流すというものではありません。
何千キロ離れていても、相手の息づかいを感じ、治療後には改善された状態を、骨格系から、内臓、脳まで遠隔で診断するものです。
最近ではある鍼灸学校でのゼミの臨時講師となり、学生の面前で、教室外の学生に対して行った例があります。
3.律動法の解説
自己紹介で述べましたが、骨格系の診断において、静止状態での見方と、生体特有の動きの骨格系診断とありますが、全身骨格系から、全内臓、硬膜系が動脈・静脈・リンパ系の流動とともに協調して動いている視点からとらえた診断をします。
メジャーは全身組織を網羅したレベルの腰椎5番の律動調整です。
一般的なカイロプラクティックのX線診断を基本とする骨変位理論では、生体組織が生きていて、熱い血潮が流動している生体組織が生きているさまが伺えません。
メジャーとするL5の律動現象では、精緻な動きほど全身組織と連携されていることを発見しています。
もちろん静上リスティング観によるL5の調整をしても、ごく初歩的な疾患しか改善しません。
全身骨格系、頭蓋骨系、全内臓系、硬膜系、循環系をすべて網羅した究極の治療が可能となる、深いレベルの腰椎5番の律動調整法でなくてはなりません。
全身組織のあらゆるものが改善するためには、全身組織のすべてを診断することが必要です。
診断できるからこそ、全組織を改善することができるのです。
通常のアジャスト法はどうでしょう。
仙骨をアジャストするとき、C1アジャストするとき、下垂体の動きを観察していますか?
脳底動脈の流れを見ていますか?
それを限中に置かず、L5のPR・PLの調整で治るはずがないと得意になって批判しています。
他の治療法を批判するには原則があります。
それは自身の治療を公開することです。
匿名で批判することを恥と思わない者が多い業界です。
腰椎5番の律動調整は、腰部を見ながら、内部の椎体、神経根、ディスク、腎臓、腸炎粘膜、腹大動脈から、脳、頭蓋まで同時に透視するものでなくてはなりません。
またその過程を進む治療でなくてはなりません。
これが律動法の律動調整です。
4.チューニングと手技療法における気の問題
治療現場における患者とは生体調整機能が低下した存在です。
その異常を診断するのですから、それを診断する術者のエネルギーは正常でなければなりません。
つまり、術者は身心はセンサーなのです。
診断においてまず術者の身体エネルギーを正常にすることが第一条件です。
次に患者のエネルギーを調整することで正しい診断ができます。
そのエネルギー調整がない多くの治療法で効果が充分でないことが多い原因がここにあります。
それが律動法の見方です。
患者を正しく治さないと治療家は自身のエネルギーが悪くなりますから、
患者は自分ひとりですが治療家は何人もの患者の異常エネルギーを受けます。
正しく治して患者は良いエネルギーになり、術者も大勢治せばさらに良いエネルギーになります。
そうして、より高度の治療を行える名人治療家になります。
まず、治療家が治療に関する考え方を新たにすることです。
性急に学んだ理論を誇示してもダメです。
著名な治療理論は各テクニックの創始者が発見した理論です。
自身の体験で発見したものでないと治せません。
より高度の治療をするためには、全身組織が皆正常にしなければなりません。
全身組織を治すならば、全身組織をより多く診断しなければなりません。
それと治療家自身が自分と患者のエネルギーを正常にしなければ、正しい診断ができません。
患者の身体と術者自身のエネルギー調整により、まっさらの患者の生体組織を知るのが正しい診断です。
そこから患者の正しい治癒力の存在を知ることができます。
A・Kの優れているところは、この生体診断を曇らせている「邪気エネルギー」という霧を除き真の生体診断をするところです。
この霧を神経系の混乱と説いていますが、その調整法を身体校正と言い、律動法ではチューニングとしています。
5.チューニングの実際と治療における気の問題
その必要性は例を挙げると、脚長差診断でも同一の患者に対して、診断する各術者が触れる度に変化してしまいます。
これをスイッチングと言います。
その調整をチューニングと言います。
鍼灸の脈診例でも必ず起きています。
脈をとる術者毎に脈状が異なるはずですが、鍼灸界はそれに気づいていません。
①術者が行うスイッチングテスト
身体前面の正中線上の下から手指を擦過します。
そのとき筋力が落ちるのがスイッチングです。
②自身での自己筋肉ロックテスト
片方の前腕を胸部前面に肘から曲げ、他方の手掌で軽く下げます。
ロックできなければスイッチングです。
③チューニング
手指で湯飲みを持つ形にして、正中線の左右3横指の線を上部から下方へ手掌を2~3回擦過させます。改善されたかチェックします。
アジャスト時に術者の気の問題がありますが、すでにチューニングのところで理解できると思いますが、治療するときの気は術者の思いが入りやすいです。
患者の生体は他者の気など求めてはいません。
患者の治癒力を最大に導くものであって、術者の気は生体の異物であり、拒否反応をします。
最高の医療、治療は患者の生体の治癒力を最大限発見することです。
未熟な治療家、自己過信の治療家ほど診断が不得手でその反動で、心を込めて治療するという独善的治療になるので必ず、悪化しています。
脊椎調整時に気を入れようとすると骨格系、血液循環、内臓の呼吸現象すべて静止しています。
【実験】
①術者のエネルギーテスト
②患者の異常反応
③疼痛緩和法では病気が治せない。殺虫剤での実験。
④正しい治療は筋力が正常になり、呼吸が深くなる。
6.名人治療家のための治せる身心の修得法
この件は、『新鍼灸法の実践』に詳細に記述しました。ぜひ読んでおいてください。
動画紹介
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